ラッシュガードのこんなイベント

固形燃料と違って「製品」の販路には困らないが、「原料」である利用可能な廃プラスチックを回収するのがむずかしく、あまりのコスト高になるせいだ。 一般には処理コストを下げるには大規模化すればよいが、この場合、大規模化のためには広域から回収しなければならず、人件費と運送費がかさむのでコスト低下につながらない。

90年代にはいって、触媒を用いることで処理コストを大幅に下げる技術が開発されたが、これも断続的な実験から継続的稼働へ移行したかどうかというところ。 現段階では、プラスチック処理促進協会でも燃料化率の数字をつかんでいない。
理屈としては合理的なはずの燃料化がなかなか陽の目を見ないのは、努力の方向がハイテク燃料化をめざしているからだと思う。 もちろん、利用可能な廃プラスチックがリーズナブルなコストで集められるケースではハイテク燃料化をさらに進める努力はあっていいのだが、いま必要なのは、垂である。
種類も汚れ方もまちまちな廃プラスチックを、あまり手間暇かけないで有効利用する方法そしてこれは、全国の相当数の自治体が清掃行政の延長上ですでに行なっている。 ゴミ焼却場に併設されたエネルギー回収システムで、いわばロウテク燃料として使うものだ。
エネルギーの回収方法には、廃熱を暖一房や給湯に使うケースと、さらに発電を行なうケースがある。 ゴミ焼却場は全国に約2千カ所あるが、うち約百カ所が発電設備をもっており、そのなかの30カ所前後は電力会社に売電する能力もある。
これが本筋だと思う。 石油由来の廃プラスチックは、古紙などと違ってきちんと燃料として燃やすことが立派な再利用であることに気づくべきだ。
では、その燃やし方だが、現在の「ゴミ発電」型が一つの可能性としてあるし、分別法によっては「廃プラ専焼」型も考えられる。 ひょっとすると、しっかり分別された廃プラスチックの量しだいでは再油化・ガス化のプラントでも採算がとれるかもしれない。
さらにひょっとすると、苦労して再生率を上げるより、ふさわしい方法で熱源化し、そのぶん直接燃料に仕向けられる石油消費を減らすほうが社会的コストも環境負荷も小さくなるかもしれない。 だから減容のための「焼却」とか「廃熱」利用とかの発想をやめて、はなから「火力発電」とか「再油化・ガス化」と位置づけたらいい。
つまり清掃行政からの脱皮、ゴミ収集から資源回収への転換である。 こういう提案をすると、自治体が発電所や油化プラントを経営するのか、と反問されそうだが、いいじゃないか。
場合によっては電力の供給を電力会社が独占する現行のシステムを見直したっていいわけだし、そうでなくても第3セクター方式など運営の方法はいくらでもあるはずだ。 その際、問題になるのは、東京23区のように、分別収集とはいいながら可燃物と不燃物の2分法で、いまだにプラスチックを金属やガラスとともに不燃ゴミとして回収している怠慢な行政である。

可燃・不燃の2分法は、金物回収など伝統的な静脈産業が生きており、ガラス瓶はほとんどリターナブル、厨芥(台所ゴミ・食物残置)、紙くず、その他の塵芥が主体である家庭ゴミを、減容して衛生的に処理すればよかった時代の清掃行政の発想から一歩も出ていない。 焼却しても減容効果のない不燃物がだんだん増えてくるのでこれを分離し、ほんとうは燃えるものなのに、高熱に耐えられない旧式の焼却炉で燃やすと炉を傷め、有害ガスを出すものもあるプラスチックは、燃えないほうに分類した、というだけのことだ。
もしも行政に先見性があり、分別収集を始める時点で「ゴミは資源である」という観点があったら、ゴミ問題はいまほどにバカげた騒ぎにはならなかっただろう。 もっとも、行政だけを責めるのは酷ではある。
この間の展開は史上いまだかつてなかった速さだし、たしかに当初はプラスチックを燃やすわけにはいかなかった。 しかし、耐高熱性の炉が実用化され、塩化水素ガスの発生は中和剤で、ダイオキシンの生成は燃焼温度の調節で制御できることがわかってからもプラスチック=不燃ゴミ説を後生大事に継承しているのは解せない。
ダィオキシンは塩素含有プラスチックだけでなく、食塩を含む食物残澄や塩素漂白した紙を燃やしても生成されることがある。 塩ビや塩化ビニリデンが混入すると、ダイオキシン生成防止にコストがかかりすぎるというのであれば、一見してわかるマークをつけて分別させるとか、家庭用品については用途を規制するとか、一般廃棄物に混じらないような措置を講ずればよい。
硫黄化学の専門家であるO氏によれば、ハウス温室の廃塩ビを硫黄とともに加熱し、塩化水素や硫化水素を消石灰で中和するとダイオキシンの生成もなく完全に無毒化し、残った黒い粉末は苗床の熱吸収体として利用できるという。 これは二十年ほどまえ、PCB(ポリ塩化ビフェニール)が問題になったときにO氏らがその処理法として発見し、当時は通産省に「硫黄自体が公害源だから」と無視された技術の応用だそうだ。
具体的な技術が提示されているのに、硫黄という物質がまとうイメージを恐れて取り組みを避けるこういう行政の怯儒は体質なのか、それとも情緒的な消費者運動や住民運動が育ててしまったものか。 ゴミ政策はゴミ問題に追いつけるか東京の場合、近年は焼却場の用地がない、住民が分別に協力してくれない、と泣き言をくりかえしているが、それは怠慢以外の何物でもない。
T・S両氏の墓標だとK氏が定義する、あの都庁新庁舎を建てたほどの意欲で取り組むなら、「廃プラ混焼発電プラント」ぐらいできるだろう。 分別については、プラスチックの位置づけが暖昧な二分法がそもそもよくない。

平成4年度から、やっと重い腰を上げて、住民による集団回収の対象になっていない分の古紙、瓶、缶などの「資源」を分別回収することにしたらしいが、そこでもプラスチックは相変わらず不燃ゴミである。 いまのところ、ほんとうに燃やせる炉が足りないので仕方がないとしても、焼却場増設の計画はあるのだから、将来的には「燃料」として回収するプランを策定してもらいたい。
そして分別方法は資源回収のマニュアルを作って徹底的にPRすべきだ。 だいたい「TOKYOSLIM」などという愚にもつかないキャンペーンは思いつくくせに、真のPR(パブリック・リレーションだよ)は、やる気がないとしか思えないほど下手くそなのはどういうわけだ。
こういうことを、なぜ行政に要求するかというと、回収ルートとしては清掃行政の既存のネットワークがもっとも網羅的に全国をカバーしているからである。 リサイクルの目的から考えても、回収に要する人力以外のエネルギーは小さいほど望ましく、このネットワークを利用するのが得だからだ。
もちろん、物流を逆行するルートに乗せられるものはなるべくそちらに乗せ、先発の住民運動や静脈産業との役割の調整が必要だが、それらに任せっぱなしではダメだ。 事実、90年から91年にかけて「熱病のように広がった」牛乳パック回収運動の実績は、年プラスチックといかに共生する力間一万トン、紙パックの原紙使用量25万トン中13万トンが消費される牛乳パックの一割にも達していない。
住民運動とはそういうものなのだ。

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